| asin | 4296208454 |
| 出版日 | 2025-11-21 |
| 出版社 | 日経BP |
| 著者 | 佐藤 一郎 |
| レーティング | 高 |
| レーティング取得日 | 2025-12-12 |
| 概要 | |
| 詳細 | (「はじめに」より) 本書では、2030年を見据え、筆者が想像、予測した将来の生成AIの活用を数多く紹介します。現時点で実現できていない活用も含まれますが、読者の皆さんが、生成AIのポテンシャルを生かした活用の可能性を見いだすきっかけとなれば幸いです。執筆に当たってはAIの専門技術についてはできるだけ平易に解説し、幅広い読者層に読んでいただけるよう配慮しました。 本書の内容について、簡単に紹介させてください。生成AIの急速な普及については、いまさら説明の必要はないでしょう。まず第1章では、生成AIを中心としたAIの動向について概説します。AIに詳しい方は読み飛ばして構いません。 第2章ではChatGPTなどの文章生成AIの活用について概説します。しかし、ビジネスにおける生成AIの活用の多くは、文章の作成や要約といったごく限られた領域にとどまっています。さらに、生産性向上のために導入したはずが、結果として生産性を下げている企業は珍しくありません。第2章は生成AI活用としてはうまくいっていない事例に関する課題解説が多くなっていますが、これは第3章以降につなげるためです。 「AIエージェント」というキーワードが流行しています。筆者はITの流行語には慎重な立場ですが、本書ではあえてAIエージェントを取り上げます。というのは世の中にはAIエージェントの解説・論考があふれていますが、その大半が自社の業務効率化という一人称の視点のみに閉じており、さらに技術の実状と乖離しているからです。第3章ではAIエージェントの現状を分析した後、取引先や消費者がAIエージェントを導入したとき、企業に与える影響とその対策を概説します。AIエージェントのまったく違う一面が見えてくるはずです。 将来の生成AIの活用法を考えるとき、「生成AI単体で何ができるか」を考えがちですが、他の技術と組み合わせることで、その可能性は大きく広がります。第4章では、生成AIと音声入出力AIの組み合わせを取り上げ、いわゆるブルーカラーの現場における活用例を紹介します。生成AIと音声入出力AIの組み合わせというと、議事録作成などを思い出されるかもしれませんが、むしろスマートフォンを含む機器の使い方、デザインを変え、さらに企業の業務および業務システムも変えていきます。 そもそも生成AIは非常に強力な技術です。その本来のポテンシャルを理解すれば、まったく異なる活用の方向性が見えてきます。そのひとつは生成AIによるデータ合成です。ビッグデータが注目された時代には、実データを保有することが企業の競争力になるとされてきました。しかし、生成AIの登場により、不足するデータを合成できるようになります。つまり、データは「集める時代」から「合成する時代」へと変わり、企業はデータ戦略の変革が求められます。これは第5章で解説していきます。 また、生成AIは「未来予測装置」にもなりえます。この特性を積極的に活かすことで、生成AIの新しい活用を切り開けます。さらに科学の在り方に影響を与える可能性まであります。詳しくは第5章9節を御覧下さい。筆者の生成AIに対する関心事もそこにあります。 そして最後の第6章では、生成AIを中心としたAI活用がいかにして「日本の勝ち筋」となりえるかについて、筆者なりの方策をいくつか紹介します。そのうちのひとつの要点を挙げれば、AIはビジネスにおける様々な業務の手段である以上、重要なのは「どんなAIを作るか」ではなく、「AIをどう生かして新しい業務の仕組みを作るか」です。優れた業務の仕組みがあれば、その業務の仕方を導入することで、企業の競争力は高まります。そして、その業務の仕方を支えるAIは日本だけでなく、世界に広がることになります。 本書の読み方ですが、章間の依存性はありますが、どの章からも読めるように配慮しました。まずは日本の勝ち筋が知りたい方は第6章から、生成AIの斬新な活用に興味がある方は第5章から、ブルーカラーの業務改善に関わる方は第4章から、AIエージェントによる影響に関心がある方は第3章から、生成AI活用の実状と課題に興味がある方は第2章からでも構いません。 あわせてコラムを多く掲載しました。本文はコラムに依存しておらず、興味のあるコラムだけを拾い読みいただいても構いません。 <目次> はじめに 第1章 生成AIとその活用の現在地 ChatGPT登場を機に世界で開発競争が始まる コラム 言語生成AIは英語優位だったのか コラム MCP:ライバル企業からオープンAIへの一矢 生成AIのキラーアプリは文章作成でいいのか 生成物の品質を高めやすい特化型生成AI 生成AIが企業組織に与える影響 日本の企業はどうしてAIの普及が進まないのか コラム AIは人間の仕事を奪うのか、という質問とその回答 AIを支えるインフラの動向(GPU編) コラム 「ディープシーク騒動」への疑問 AIを支えるインフラの動向(データセンター編) 第2章 生成AIは「文房具」ではない、AI利活用の勘所 生成AIの導入が生産性を低下させている コラム 企業の生成AI導入の実情に関するMITレポート 生成AIの利活用がマッチポンプ化している 生成AIを「新しい文房具」としかみていない日本企業の問題 生成AIの本来の効用は「限界費用の削減」 生成AIがもたらす限界費用削減の副作用 コラム ファクトチェックをすれば解決するのか コラム 動画生成AIの高品質化とディープフェイク動画 企業の生成AI導入に不可欠な「2つの線引き」 生成AIが変えるソフトウェア開発とプログラマーの未来 コラム 生成AIがもたらす、プログラミング言語格差 第3章 AIエージェントの理想と現実、未来像を知る AIエージェントとは何か コラム ビジネス界のAIエージェントと学術研究におけるエージェント コラム AIエージェントにより、SaaSはどのような影響を受けるのか AIエージェントの仕組みと現状 コラム MCPは非AIシステム・アプリケーションのAI利用を加速させる コラム マルチAIエージェントへの期待と限界 88 BtoBにおける取引先AIエージェントへの対応 消費者のAIエージェント利用 コラム AIエージェントで取引しやすい商品・サービス AIエージェントが商品の選択・購入する時代に宣伝は有効なのか コラム AIエージェント時代の企業ブランディング コラム AIエージェント時代、ECサイトはどのように生き残るのか 企業のAIエージェント導入とリスク 日本の企業がAIエージェントを活かすには 第4章 音声AI+生成AIが変える未来のビジネス 音声AIと言語生成AIを組み合わせる コールセンターからゲームまで、AI音声会話が変えるもの 自然言語対応デバイスは「見えなく」なる コラム スマートスピーカーはなぜ普及しなかったのか 自宅の家電同士が自然言語で語り合う未来 コラム 家電連携はなぜ普及しないのか コラム マイクロソフトとアップルの戦略の違い 既存の音声入出力AIと言語生成AIの限界 コラム クジラや鳥と話すAI AIに求められるのは、現実への深い理解 音声入出力AIと言語生成AIの組み合わせが変える現場業務 音声入出力AI+言語生成AIは企業情報システムを変えるのか 音声入出力AI+言語生成AIとDXの未来 第5章 画像・映像AIの意外な使い道、データ合成・未来予測・異常検知 生成AIによる学習用データ作成 コラム 学習用データは正しいといえるのか 非言語生成AIによるデータ合成 自動運転AI用の走行画像データを合成する 生成AIが一変させる企業のデータ戦略 コラム 欧米のAI顔識別の制限と生成AIによる合成データ 合成データによる個人情報・プライバシー保護 コラム データ活用は現実の不都合を拡大・固定化することもある 未来予測装置としての生成AI コラム 天気予報と機械学習 生成AIの未来予測能力を異常検知に活かす 第4の科学としての生成AI コラム これまでの「第4の科学研究の方法」について 第6章 生成AIにおける日本の勝ち筋 これまでの日本の生成AI促進策を振り返る コラム 国産LLM開発促進策 言語生成AIは独自開発せず、コモディティー化させる 日本の強みを活かせるドメイン特化生成AIの開発へ AIにおけるネットワーク外部性とは コラム ネット広告における生成AIの不都合な真実 ドメイン特化生成AIの開発にもネットワーク外部性を活かす 中小企業のAI研究開発促進(ドイツの事例から) 日本における生成AI以外のドメイン特化AIの開発 データ共有 vs.データ合成 コラム フィジカルAIは現実的なのか 生成AIサービスをどうマネタイズするか 世界のAI規制動向と日本が目指すべき方向性 AIはバブルなのか おわりに |